2020.6.2
会長コメント
6月2日(火)、中経連は会長交代記者会見を行い、豊田前会長から退任挨拶、水野新会長から就任挨拶が述べられました。概要は以下の通り。
豊田前会長 退任挨拶
中経連会長として4年間の在任中、微力ながらも中部圏の発展に尽くしてまいりましたことを、誇りに思いますとともに、皆様の多大なるご支援・ご協力に、深く感謝申し上げます。
現在、皆様ご承知のとおり、新型コロナウイルスが全世界で猛威をふるっております。亡くなられた方々およびそのご家族に、お悔み申し上げますとともに、闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。また、医療従事者をはじめ、最前線にてご尽力いただいている方々に、心より敬意を表します。
コロナ禍で世界経済は深く傷つき、各国はいまだ経済再建の道筋を示せないでいます。中部圏においても、人々の安全で安定した生活が脅かされ、地域経済は深刻な打撃を受けており、倒産・廃業・失業による地域経済の立ち直りの遅れ、さらには都市間格差の拡大が懸念されます。
政府および自治体には、引き続き終息に向けた疫学的・医学的対策をお願いするとともに、企業の事業継続と雇用維持のため、各種経済対策をスピーディに実行いただきたいと思います。
一方では、東京一極集中のリスクが表面化してきています。また、テレワークやWeb会議の導入が進んでおり、これを機に地域への機能分散化、東京一極集中の是正につながる動きが出てくると、おおいに期待しています。
この4年を少し振り返りますと、2016年、世界が猛スピードで変化し、わが国が労働人口減少や東京一極集中などの構造的問題を抱える中、私は中部圏の将来に強い危機感と覚悟を持って、会長職に就きました。
産業・社会構造の変化に対応すべく、まず委員会体制の見直しを行い、中部圏の将来ビジョン策定、イノベーション促進、人材育成など、「世界から人や投資を惹きつける魅力ある地域づくり」に取り組んでまいりました。
「自ら声をあげ、スピード感をもって行動する」を基本姿勢として活動量を増やしてまいりましたが、とりわけ、経済界が一体となり国を動かした国土強靭化税制、「中部圏の将来ビジョン」策定と産学官での具体的戦略の議論開始、名古屋市や大学と連携したナゴヤ イノベーターズ ガレージについては、大きな目標に向かって第一歩を踏み出せたのではないかと思っています。
力強い前進は副会長の皆様の強いリーダーシップと会員の皆様のご支援・ご協力の賜物であり、心より感謝申し上げます。
私は中経連副会長時代、経済委員長を務めていました。委員長としてし、その実現を目指して4年間、地域の創生に全力を注いでまいりました。
水野会長もこの4年間、経済委員長として毎年、時宜を得た骨太の提言をまとめてこられました。特に最新の提言は、令和新時代を新たな成長の時代とするために必要な経済・社会政策について問題提起したもので、中経連の新たな活動の「拠りどころ」になるものと考えます。
コロナショックを経て、経済社会の構造やビジネスモデル、人々の生活、すべてが大きく変わることと思います。世界の変化をしっかりと捉え、中部圏各地域の無料 麻雀にも精通される水野会長は、この難局において、変革を推し進めるリーダーにふさわしい方であります。
私の好きなヨットは向かい風でも前に進みます。風を読み、生かすことで力強く海上を走ります。水野会長のもと本日スタートした新しい中経連も、世界の変化をしっかりと捉え、中部圏各地域の関係者の皆様の声を聞いて、力強く前進していくものと期待しています。皆様、中経連の活動に、どうかますますのご支援とご協力をお願いいたします。私もしっかりと水野会長をご支援申し上げてまいります。4年間、誠にありがとうございました。
水野新会長 就任挨拶
この度、中経連会長に就任いたしました水野でございます。重責を担うこととなり、身の引き締まる思いであります。微力ながら、中部圏発展のために取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。ここで、私の思うところを少しお話しさせていただきます。
【アフターコロナを見据えて】
ご承知のように、わが国におきましても、この1カ月半あまり続いた新型コロナウイルスの緊急事態宣言が、5月25日、全国的に解除されました。これまで、新型コロナウイルス感染により亡くなられた方々にお悔み申し上げますとともに、感染されている方々、ご家族に心よりお見舞い申し上げます。また、医療従事者や休業要請等に協力された皆様に敬意を表します。
現在、中国、韓国および欧米諸国では、停滞していた経済活動を再開する動きが活発化しています。わが国でも、第2波を警戒しつつ経済活動を再開する局面に入りました。完全な正常化にはまだ時間を要すると思われますが、コロナショックを教訓に、各国の政府は国内経済改革を、企業はイノベーション競争を、さらに加速していくと考えられます。
このような状況において、我々は今後、世界経済の構造にどのような変化が起きるかを想像しておく必要があります。例えば、経済のデジタル化やサプライチェーンの組み換えなどが世界規模で一気に進むことが想定されます。
今年2月、私が委員長を務める中経連経済委員会は、提言書「令和新時代に求められる経済政策~平成の教訓を踏まえた骨太の問題提起~」を発表(2/3)を取りまとめました。従来の常識や枠組みにとらわれず、働き方改革や生産性向上、経営革新などを実現しなければ、わが国のプレゼンス低下を食い止められないと、少々大胆な問題提起を行いました。現在のコロナショックに鑑みますと、本提言は決して大げさなものではなく、この機に、わが国および企業が思い切った行動をとらなければ、日本経済の再起はないと改めて感じています。
【中部圏の課題と発展の芽】
一方、中部圏に目を向けますと、我々は、人口減少、中小企業の事業承継、Society5.0への取り組み、自動車産業への依存、イノベーションの停滞、大規模自然災害への対応など、我々は、さまざまな課題に直面しています。
他方では、将来の発展の芽も生まれつつあります。例えば、インバウンド需要の高まり、リニア中央新幹線の開業を見据えた都市再開発、イノベーション創出のための産学官協調の動きなどであります。これらの課題解決と、将来の発展の芽の育成について、豊田前会長が残された成果を基盤に、一層のスピード感をもって提言の実現に取り組んでまいります。
私は、中部圏をリニア中央新幹線の開業により形成されるスーパー・メガリージョンの中で、ひときわ光り輝く地域へと発展させていきたいと考えており、そのためには、次の3つの取り組みが重要であると認識しています。
【中経連の重点課題】
(1)中部5県の産学官広域連携を具体化、実体化する
広域課題に対する戦略を議論・推進していく必要性については、第16回中央日本交流・連携サミット(2/7) 麻雀において、豊田前会長のリーダーシップのもと、皆様と合意いたしました。中経連は、広域課題を産学官で協議する場を、仮に「中部圏戦略会議」と名付け、2021年度以降の設立を目指してまいります。私は、この会議体を足掛かりに、5県が協調して諸課題に取り組む、中部圏版OECDのような、より実効性ある組織へと発展させていくことができればと考えています。
(2)中部圏にイノベーションの爆発を起こす
ナゴヤ イノベーターズ ガレージを縦横無尽に生かし、とかく保守的で慎重と見られがちな当地域において、企業経営、ビジネスモデル、科学技術といったビジネスの領域から、人々の安心・安全な暮らしやまちづくりといったさまざまな社会の分野で、イノベーションを起こす発火点にしたいと考えています。
(3)セントレアの二本目滑走路を現実のものとする
二本目滑走路は、スーパー・メガリージョンの一角としての中部圏発展のためだけでなく、首都直下型大地震に備える意味でも、リニア中央新幹線圏内に存在する首都圏第3空港としての機能整備という観点に立った、国家的なプロジェクトにすべきであると考えています。
以上3つの取り組みは、パンデミック後の世界が大きく変容する中で、より重要度を増していきます。実現に向けて、中部圏の力を結集することが必要であり、産学官および広域5県の「つなぎ役」として力を尽くすことこそが、この時期に中経連会長をお引き受けする私の使命だと認識しています。
【力を結集し、突破する】
私は学生時代、アイスホッケーに打ち込んでいました。アイスホッケーから私が学んだことは、チームの力を結集して、勇気をもって敵陣を突破することの重要性です。
これになぞらえて、『力を結集し、突破する』中経連を目指してまいります。会員の皆様の力、中部圏の産学官関係者の力を結集し、課題や目標、さらには立ちはだかる壁やさまざまな困難を突破していけたら幸いに存じます。
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